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稀代の名文記者が紹介する、血の通った名言たちが心に響く『心にジーンと響く108の名言』


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こんにちは、ほけきよです!

今日は書評。名言本を紹介します!名言はいいですよね、心を軽くするし、時には人生の指針にもなる。

今日紹介する本はこちら!!

心にジーンと響く108の名言 (だいわ文庫)

心にジーンと響く108の名言 (だいわ文庫)

この本を買った理由。

私がなぜこの本を買ったか。それは著者が竹内政明さんだったからです。竹内政明をご存じない方でも、 「読売新聞の編集手帳というコラムはご存じの方が多いのではないでしょうか。竹内さんは、2001年からその6代目執筆者として、毎朝新聞にコラムを書き続けています。

私と編集手帳の出会いは、新聞ではありません。約10年前の電車の中です。何気なく広告に目をやっていると、次の2つの詩が目に入りました。

  • 親孝行

親が子を思う情はいつの世にも
「永遠の片思い」であるという。
片思いに答えられる年齢になったとき、
親はいない。
墓前にたたずめば人は誰もが、
「ばか野郎」と
なじってもらいたい
親不孝な息子であり、
娘であろう。

  • 努力

プロになる夢を
胸に抱きつつも
ドラフトとは無縁のまま
昨日も素振りをし、走り、
一人黙々と汗を流した若者が
きっとどこかにいるだろう。
カメラの放列と
まぶしい照明のある道だけが、
夢の扉に通じているわけではない

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まだ高校生で、冬期講習のためにはるばる田舎から一人で上京していた私は、ノートの端にすぐにメモを取りました。

「ああ、たったこれだけの文字で、人の心を動かせる人がいるんだな。」と。

それ以来、竹内さんの書く文章のファンになりました。本当に素晴らしい文章を書く方だと思います。

ちなみに、編集手帳は毎シーズン文庫本にまとめられています。もう第30集なのですね…!

前書きからすでに素敵!

今シーズンもそろそろ編集手帳が出るのかなぁ〜と何気なくAmazonで調べていた時に見つけたのがこの本。 私の中では、もう竹内さんが書いている、という時点でもう「買い」でした。気づいたら家に本が届いてた!

ぱらっとめくって前書きを読む。

画家の安野光雅さんは若い頃、バス停で朝鮮人のおばあさんと一緒になった。おばあさんはつぶやいたという。

ヒトリダマリノミチガナイ。フタリハナシノミチミジカイ。
(安野光雅『絵のある自伝』文藝春秋)

ありきたりの <旅は道連れ世は情け>とおばあさんのつぶやきと、心はどちらに揺さぶられるだろう。
ノミやノコギリと同じように「言葉」にも、よく切れる道具と、なまくらの道具がある。

言葉を選び、伝え続けてきたから人の「よく切れる道具」はどんなものか、早くも心が躍ります

読んでの感想

全体を通して、きれいに整えられた名言というより、悩みや苦悩、人間の真理をつくような、生々しい血の通った言葉達が揃っていた。

例えば、大女優森光子の若かりし頃の川柳

あいつより うまいはずだが なぜ売れぬ

は、森光子のその後を知っているからこそ味わい深いものになる。彼女が大成したのが41歳。苦労が見え隠れするこの句には、なんとも言えない迫力がある。

美味しいディナーというよりかは、スルメのような、そんな味わい深い言葉達をチョイスしているよう。 それこそ、使い古されたいわゆる「名言」とは一線を画した、地に足がついたような言葉達が多かった。 だからこそ、臆病な自尊心と尊大な羞恥心を持つ私のような人間にとって、刺さる言葉が多かったのである。

そして、何より竹内さんの言葉の解説が巧い。何もなければ「ん?」と見過ごしてしまうような言葉も、 竹内さんの解説により、実体を持った素敵な言葉として心にすっと入り込んでくる。 そういう意味で、選んだ言葉と、その解説も楽しめるという、良本である。

心に残ったものをチラ見せ

  • 敗北の言い訳をしない

誰でも経験があるだろう、運動会で
子供達が懸命に走っているのを見ると、目がうるむのだ、
自分の子でもないのに、ビリの子供の力走には
涙が出てくるのだ。(中桐雅夫)

勝負の前から自尊心が傷つくことを恐れていたのじゃ、誰の心も揺さぶることはできない。 オトナになって、ちゃんと目の前のことと勝負できているか?

  • 「ドーデモイイ」という解答もある

ある問題に対して「ドーデモイイ」という
解決法のあることに気のつかぬ人がある。
何事でもただ一つしか正しい道がないと
思っているからである (寺田寅彦)

物理学者であり随筆家である寺田寅彦の言葉。特に人間関係において、答えを一つ出さなければならないという強迫観念から脱するのは大事なのかもしれない

  • 失恋に「ありがとう」を言う日

今までに、私をフってくれた人たち、ありがとう。
おかげでこの子に会えました。 (木次洋子・愛知県33歳主婦)

ポジティブな言葉。絶望だって、未来の幸せの糧となると信じて今を生きよう。

まとめ

竹内政明さんが切り取る言葉、作り出す言葉、ともに素敵で人間味に溢れています。困っている人、心が弱っている方に特にストレートに響くことでしょう。

ポイントは
・竹内政明というすごい人
・読売新聞、編集手帳は良文多し
・『心にジーンと響く108の名言』には、血の通った名言がいっぱい!
です!興味のある方は、ぜひ編集手帳を読むなり、この本を手にとってみてください!ではでは!

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