※2017年3月21日追記:受賞者とノミネート理由(ページ下部)
こんにちは、ほけきよです。 みなさん、プリツカー賞ってご存知ですか?? 「建築界のノーベル賞」とも呼ばれていて、建築家にとっては最高の栄誉の一つです。 さらに、この賞、日本人がめちゃくちゃ強いんです!
そんな賞があるなら、日本人としてチェックせねば!!
今日は、プリツカー賞に迫ってみます
プリツカー賞とは
建築家のノーベル賞
プリツカー賞 (The Pritzker Architecture Prize) とは、「ハイアットホテルアンドリゾーツ」のオーナーである プリツカー一族が運営するハイアット財団から建築家に対して授与される賞である。 歴史は浅いが、1988年にニューヨーク・タイムズの記事で 「建築家にとってこの賞は、科学者や作家たちにとってのノーベル賞のようなものだ」と書かれて以降、 「建築界のノーベル賞」と紹介されることもある(Wikipediaより)
- 設立 : 1979年
- 対象 : 建築を通じて人類や環境に一貫した意義深い貢献をしてきた、存命の建築家
- 賞品 : 10万ドルとメダル
- メダルはルイスサリヴァン(アメリカ建築家の三大巨匠)
- メダルに刻まれた言葉は「FIRMNESS」(堅牢)、「COMMODITY」(便利)、「DELIGHT」(喜び)
- 最古の建築理論書の筆者ウィトルウィウスの格言より
歴史はまだ浅いようですが、とにかく現代建築家なら受賞したい、最高の栄誉なのです!
日本人がめちゃくちゃ強い!!
この円グラフをご覧ください。
なんと、日本人受賞者が最多なのです!*1 日本人受賞者と、その特徴は次の通り
受賞年 | 人物 | 代表作 | 特徴 |
---|---|---|---|
1987年 | 丹下健三 | 東京都庁/代々木体育館 | 日本人建築家のパイオニア 世界のタンゲ |
1993年 | 槇文彦 | 幕張メッセ | モダニズム建築が特徴 |
1995年 | 安藤忠雄 | 光の教会/表参道ヒルズ | コンクリート打ちっ放しの 建築が世界的評価を得る |
2010年 | 妹島和世 西沢立衛 |
金沢21世紀美術館 | SANAA 建築の要求を抽象化し、 常識を打ち破る建築物への挑戦 |
2013年 | 伊東豊雄 | 台中国歌劇院 | 革新的名作を生み出す 建築界のイノベータ |
2014年 | 坂茂 | 紙の教会 | 環境や災害を考慮した 紙の住宅が世界的な評価を得る |
安藤忠雄や丹下健三などは、建築に詳しくなくても知っている人が多いでしょう。 こうして各人が作った建造物を眺めて見ると、日本も、魅力的な建物が多くありますね。
近年の受賞者はどんな建物を作っているのか
続いて、プリツカー賞は近年どんな人が受賞しているのか。 その受賞理由や建物に迫り、最先端の建築について紹介したいと思います!
2014年 : 坂茂
日本人建築家です。彼は災害時にいかに早く建物を組み上げられるか。 また、パビリオンなどの解体するときにいかに廃棄物を出さないか。 というような、建築の過程を大事にする建築家です。特に有名なのが紙の建築これに関しては、TEDでも語っています。
建築家という職業に私はひどく失望しました。 建築家は人助けもしなければ、社会の役にも立っていないのに 特権階級の人たちや、お金持ちや、政府や開発業者の為に働いているからです
(中略)
仮設住宅が必要とされる場に、建築家の姿はありません。特権階級の為に働くことで忙し過ぎるからです。 そこで私は考えました
「建築家と言えども、仮設住宅の建設に関わればいいじゃないか。私たちは現状を改善できる」
こんな理由からあちこちの被災地で働くようになりました
素晴らしい考えを持った方です。それでいて建造物は現代的で素晴らしい。 建築に対する真摯な姿勢も評価され、プリツカー賞を受賞しました。
2015年 : フライ・オットー
自然界の構造を建築に取り入れ、超軽量・高性能な建築構造を実現した建築家です。
特に、膜構造を取り入れた建築に造詣が深く、 シャボン玉などで実験を行いながら、積極的に自然科学を建築に応用したようです。
こちらの建築物は坂茂とフライ・オットーが協力して作った作品です。 紙という軽量な材料と、軽量高性能な建築構造の設計がうまくマッチした素晴らしい作品です。
2016年 : アレハンドロ・アラベナ
チリやメキシコの途上地域において、良質な住宅を途中まで建築し、残りは住民が完成していくコンセプトの建物を多く作りました。 それによって、住民に達成感と、その家の持ち主であるという責任感を与えることができたと言います。
このように、建築を単なる住まい以上のものに昇華させたことが評価されました。
こちらの記事に、アラベナが手がけた建築の数々が多く載っています。興味があれば是非。
2016年プリツカー賞を受賞した、チリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナの建築とは?
2017年は?ノミネートされている日本人
2016年の暮れに、2017年の候補者が発表されたようです。詳しくはこちらのサイト!
隈研吾
「和の大家」とも呼ばれている、日本の建築界の巨匠です。
現在新国立競技場や田町品川間の新駅など、オリンピックにあたって重要とされる建築を数々手がけています。
新国立競技場設計図(PHOTO:nippon.com)
こちらの記事に、彼の手がけている作品が詳しく載っているので是非ご覧になってください。
藤本壮介
一時期話題になった透明な家の設計者です。
プライバシーやばい。
また、フランスのモンテペリエに、こんな建物も作っています。
オシャレ&かっこいい。しびれる。
非常に独創的な発想が持ち味の建築家ですね!
【追記】2017年の受賞者決定!通称RCR
3月1日に、2017年の受賞者が決定しました!
2017 Pritzker Prize Goes to Rafael Aranda, Carme Pigem, & Ramon Vilalta of RCR Arquitectes
Rafael Aranda, Carme Pigem, Ramon Vilaltaの三人です。
PHOTO:
Home | The Pritzker Architecture Prizeより
過去40年近くの歴史を振り返っても、3人同時受賞は史上初のことです。
受賞理由
審査員長Glenn Murcuttの言葉(日本語訳)がこちら
彼ら3人の協力で、詩的な建築物を作った。彼らの建築物は過去の素晴らしい部分は踏襲しつつ、現在や未来の建築物のあり方を明確に見据えた、時代を超越した作品である。
とのこと。なんだか抽象的でよくわからない*2ですが、新旧の融合といったところでしょうか。
三人の魅力
彼らはヨーロッパ、特にスペイン中心で活動する建築家で、世界的にはそこまで有名というわけではありません。 今でもスペインのOlotを拠点に活動しているようです。
彼らの魅力は環境や文化との融合。自然に配慮した材質選びや、既存の景観を最大限活かすような建築物を設計しています。 また、社会を通じて建築、景観、芸術、文化をサポートしようと、RCR BUNKA財団を設立しました。 このBUNKAは日本語のBUNKAなのでしょうか。だとすると少し親しみを感じますね。
代表建築物
では、どんな建築物を設計しているのか、観てみましょう
Barberi Laboratory
Olotにある彼らのオフィス。なんと20世紀初頭の鋳造所を改造したものだそうです。そうありつつも、光を多く取り入れた現代の潮流も組み込んでいる。 まさに「新旧調和」の取れた建築物です。
Soulages Museum(スーラージュ美術館)
2014年に出来た美術館。これも、赤錆のような鉄のコンテナ風の箱と、ガラス張りの空間が融合したまさにRCRらしい作品。
PHOTO specifierより
ちょっと他にない新旧の融合具合で、この地を訪れたときは是非観に行きたいものです!!
授賞式は日本で!
3人は、5月20日、東京・迎賓館で行われるらしいです。 賞金は10万ドル。これを3等分なので大した額ではないですが、このクラスになると額より名誉ですね
まとめ
最近こういう観点から建物を眺めたりするのも面白いなと思っています。
有名建築家が設計した建物とか、計画都市とかを知っておくと、旅の楽しみが一つ増えるかもですね!
おまけ : 四国は建造物の宝庫!?有名建築家たちが手がけた建造物たち
ところで、私は四国の出身なのですが、建築家の観点から見ると、四国は建造物の宝庫です。 丹下健三は愛媛出身ですし、何かと現代建築にゆかりのある四国。
そんな四国の建物を少し紹介しましょう。
伊東豊雄 : “今治市伊東豊雄建築ミュージアム”
本州と四国の間にある美しい島、大三島。そこに伊東豊雄の建築作品が展示されたミュージアムがあります。
PHOTO :flickr丹下健三 : “香川県庁舎”
BRUTUSの“死ぬまでに行きたい建築100選”にも入っていた建物です。
PHOTO : 香川県HP安藤忠雄 : “直島アートミュージアム”
ここも本州と四国の間にある島。最先端アートの島として有名になりました。
PHOTO : ベネッセアートサイト直島HP
上京する前にこういうの知りたかった…
今度帰省ついでにどこか一つくらい寄ってみよう…!
と思うほけきよです。